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息子さんはさぞかし落胆されていることでしょう。彼のこれまでの人生の中でこれほどの落胆はなかったのではないでしょうか。高校3年生の男の子ですと、体が大きくなり、髭も生えてきているかもしれません。そんな息子さんがまさにドン底の状態にあれば、どのように接するべきか悩むのも当然のことだと思います。
どのように接するべきかは、お子さんお一人お一人によって異なるとは思いますが、この年代の男の子に共通することについて、お話しさせていただきます。
まず、これはどの年代にも当てはまることかもしれませんが、この年代においても、男性は女性よりも圧倒的に精神的に未熟な傾向にあります。そのため、お母さんが「当時の私はこうだったから、うちの息子もこうだろう」と考えている以上に息子さんは「不合格」を重く受け止めていて、ショックに感じていると思います。それもあって、息子さんにとってお母さんが甘えを許してくれる存在である場合には、ついつい辛く当たってしまうのだと思います。お母さんも一人の人間ですから、息子さんに辛く当たられると、疲れてしまうと思います。しかし、ここは何とか我慢してあげてください。
一方、この年代の男の子は、同性である父親には、「自分は既に立派な大人の男なんだ。だから弱い自分は見せたくない」と考える傾向にあります。そのため、父親とはやや距離を取りつつ、気丈に振る舞うことが多いようです。そのため、お母さんには「不合格になったから、もう僕はだめだ」という弱音と吐いているかと思えば、父親には「不合格になったことを自分の糧にして頑張るよ」と強がりを言ったりもします。これはどちらが本音だと思いますか?― 答えは「両方とも本音」だと思います。このような未熟さが残っているのが、この年代の男の子なのです。ですから、ご両親で役割を分担して、大切な息子さんをサポートするのが理想的だと思います。
ところで、大学受験で不合格になった高校3年生が「高校の卒業式に出たくない」と言うケースは少なくありません。しかし、実際に卒業式に出なかった生徒はほとんど見たことがありませんので、ご安心ください。これは一過性のものだと思いますので、目くじらを立てる必要はありません。ご質問の方の息子さんがお母さんに甘えているからこその言葉であり、お母さんのことをすごく信頼して、大きな存在に感じているということの証拠だと思います。ただ、何度も何度も「高校の卒業式に出たくない」と言われると、お母さんも疲れてくるでしょう。しかし、そのような場合であっても、「何度も何度もしつこいわね。何でそんなことを言うの?」などと、問い詰めないようにしてほしいと思います。大きな包容力で優しく包み込んであげてください。
また、ご質問の方の息子さんのように落胆してヤル気を失っている生徒さんが立ち直るには、やはりやや時間がかかります。大人から見ると「いつまでもクヨクヨしていても始まらない。今すぐ再出発しなさい」と背中を押したくなりますが、ちょっと待ってください。できれば、息子さんが悩み抜いて自力で答えを見つけて、再出発するまで静観していてほしいと思います。なぜなら、そこでの気付きがその後の勉強に対するモチベーションにダイレクトに繋がることになるからです。ご存知のとおり、近年の医学部入試は年々厳しさを増しています。そのため、「浪人してでも、僕は医師になりたい」という積極的な強い気持ちが医学部入試突破への鍵になるのです。
このように大学に不合格になったことを通じて、人生に必要なことを数多く学ぶことになります。大きな障害を乗り越えると、急に人間的に成長するのも、この年代の男の子の特徴だと思います。大学に不合格になった自分を支えてくれて、浪人することを許してくれる親御さんに対して、初めて感謝の念を持つという生徒さんも多いようです。大学受験には様々なドラマがあります。その中でお子さんは大人になっていきます。